下を見てごらんなさい。それが本当の真実なのですよ。
「世の中の誰にも世話をしてもらえない人をこそ、親切に世話をしてあげたいものだな。」
この言葉は、原爆の被爆者たちをケアしてきた正田篠枝さんの言葉です。
半世紀以上前の言葉ですが、今を生きる私たちに対する重要なメッセージでもある。
最近ではメディアに取り上げられる様子はほとんどないですが、こちらの言葉と書籍はご存知でしょうか?
「最貧困女子」三年前に出版された書籍です。
最先端の問題ではありませんが、今現在でも何も施されていないままの問題です。
今回は改めて取り上げます。
最貧困女子とは?
貧困という言葉から連想できるように、かなりの低所得である。所得で言うと100万前後になる。
この条件だけでは単に「とても貧しい女性」と言うだけで終わってしまいますが、最貧困女子はこれに加えて、
家族の無縁。
地域の無縁。
制度の無縁。
の要素が加わりますが、これだけではない三つの障害を抱えている場合もかなりの確率で存在しています。
知的障害
この三点は理解されづらく、支援が受けづらくなります。
これらの要素を抱えて、必死で生き延びようとしている女性が世の中に存在しているのです。
彼女たちの悲惨な状況。
三つの無縁を具体的にいうと、
家族の無縁とは、家族がいないというわけではなのです。親がいても、暴力を振るわれたりしている。又は親が何度も変わるなどした不安定な家庭であること。
などがあります。
地域の無縁とは、自分の住む地域の人たちとの関わりがない。もはや、「ご近所さん」といった人は存在しない。相談できる人もいない状態。親の都合でいろんなところを渡り歩き、義務教育ですらまともに受けれない、学校に通う機会、ゆとりもない状態です。
制度の無縁
制度とは、いわゆる社会保障のことです
なぜ社会保障と無縁になってしまうのか?と言うと、親の暴力から逃げるため、彼女たちは夜に外に出て行かざるを得ない。
そこで警察に補導されてしまうとまた劣悪な家庭に戻される。地元の児童相談所に相談したところですぐに状況が変わるわけではなく、応急処置程度にしかならない。
そして信用をなくして避けてしまうのです。
彼女たちが最終的に頼るのは、似たような境遇をしている人たちがいるところ、理解してくれるところ。
そこで闇の世界の人たち、風俗業が関わってきます。そして制度と無縁になっていきます。
一度入ってしまえば出ていくことはとても困難な状態になり、見えない存在になってしまうのです。
そこで彼女たちは、「生きるために売春をする」ことになってしまうのです。
生きるためのセックスワーク
彼女たちは義務教育を受ける機会もなく、恐怖と貧困から逃げるために自らの身体を売りに行きます。彼女たちには自分の身体そのものが商売道具とかし、自らの身体を壊していきます。
自分の周りには同じような人たちや業者しかいない中、どうして救われようか。そこに知的障害を抱えていたらもはや助けを呼ぶということですら考えなくなって行く。
救えない存在になってしまう。
書籍には、実際の彼女たちの声が読み取れる。
私自身心が締め付けられるような思いでした。
自分が普段どおりの生活をしている中、彼女たちは生きるために身体を差し出している。
そして、今もどこかであげることのできない悲鳴をこらえて生きている。
最近はまた、ホステスをモデルとしたドラマが復活していましたが、メディアはその華やかな部分を見せるだけであり、現実に起こっていることにはノータッチである。芸能人がそういう世界の彼女たちに関わったとしても、根本的な問題に触れようともしない。
メディアの取り上げ方がいかに偏った誤解を招くものか?
真実を知るだけでも構いません。
しかし、やってくる情報を鵜呑みにして、真実を知らずに誹謗、中傷するだけになることは許されないです。私たちはその情報の裏側を考慮しないといけません。